声明の音楽理論「②-1 声明の音階」

音名と階名
 声明が使用している標準音位は雅楽の楽理を依用して体系づけられたもので、十二律(じゅうにりつ)・五音(ごおん・ごいん、五声とも)といわれます。

【声明の音名(十二律)】
音名とは絶対的な表現で、定められた音の高さを表すものです。
声明十二律の音名は以下の通り。

壱越(いちこつ)  ※D、 ニ (レ)
断金(たんぎん)  ※D♯、嬰ニ(レ#)
平調(ひょうじょう)※E、 ホ (ミ)
勝絶(しょうぜつ) ※F、 ヘ (ファ)
下無(しもむ)   ※F♯、嬰ヘ(ファ#)
双調(そうじょう) ※G、 ト (ソ)   
鳧鐘(ふしょう)  ※G♯、嬰ト(ソ#)
黄鐘(おうしき)  ※A、 イ (ラ)
鸞鏡(らんけい)  ※A♯、嬰イ(ラ#)
盤渉(ばんしき)  ※B、 ロ (シ)
神仙(しんせん)  ※C、 ハ (ド)
上無(かみむ)   ※C♯、嬰ハ(ド#)

※は英米式、日本式音名。()内は音名としての表記

【声明の階名(五音)】
階名とは相対的な表現で、 基準の音(宮)とどれだけ音程が離れているかを表します。
このうち、「宮」と「微」は核音と呼び、法要の中心となる音となります。
西山浄土宗の礼讃は基本的には維那いのう(法要の中で音程等をリードする役割)が発声した高さの音が「宮」となり、そこからどれだけ音程が離れているかをみて演奏がなされます。
声明五音の階名は以下で示されます。尚、経本には各漢字の一部を抜き出して表記されております。

       経本表記
宮(きゅう)  (ウ)
商(しょう)  (六)
角(かく)   (角)
微(ち)    (山)
羽(う)    (ヨ)

他宗には半音上の音を示す「嬰」や半音下を示す「反」などが用いられていますが、西山浄土宗においては使用されておりません。

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